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2009年8月2日日曜日

名もなき天使達

ペルーのリマは広大で大勢の人々の行きかう都市である。 リマには7百万人の人々が住んでいる。 その内の半数以上の人々が貧困にあると見られている。 ここで仕事を見つけることはとても大変なことである。 その人が障害を持っているとなれば、仕事を見つけることはなおさら困難だろう。

障害は様々な形で現れる。 障害を持った多くの人々は身体的な問題を持っている。 彼らは自分の体の各部分を健常者と同じように動かすことができない。 ある人々は目が見えなかったり耳が聞こえなかったりする。 これは、彼らが生まれつき抱えている問題である。 そうでない場合は、何かの出来事が引き金となって障害を持つことになった。 そして、ある人々は精神的な問題を抱えている。





リマの町では、障害を持った人々が仕事を見つけようと必死になっている。 しばしば、企業は障害を持った労働者の受け入れを拒む。 多くの障害者は路上で道行く人々にお金を求めざるを得ない。 そうでなければ、彼らはほんのわずかなお金のために路上で手作りの製品を売っている。 だが、これが変化の始まりだ。 そして、ある人々の団体が存在する理由のすべてである。 この団体は障害を持った人々に仕事を与えている。 その団体は「名もなき天使達(Anonymous Angels)」と呼ばれている。

ジョージ・シャバウアーはリマに住んでいる。 彼は路上でそうした障害者達と出会った。 彼は、彼らを助けたいと心から思った。 彼は彼らに仕事を与えたいと考えたのである。 良い仕事があれば、より良い生活状況を生み出すことができるはずだ。 だが、彼はどうやってそれを可能にしたのだろうか?

多くの障害者は路上でジュエリーを売っていた。 彼らは手作りでそれらの鉄製のジュエリーを製作していた。 人々が、そのジュエリーを耳につけたり、首や手首に巻いたりすることができるかもしれない。 ジョージは、これは良いビジネスになるかもしれないと予感した。 彼は、人々がジュエリーを製作したり売ったりするのを世話し始めた。

ジョージは、こうしたジュエリー製作者達が、もう既に鉄製品を作る技術を持っていると見ていた。 だが、彼らにはまだ何かが必要だった。 ジョージは労働者にジュエリーを製作する場所を与えた。 彼は、労働者に使うための道具を与えた。 彼は、労働者がジュエリー作りの技術をより高めるための手助けをした。 そして、彼はより多くの人々がこれらのジュエリーを買ってくれることが分かった。

その内、ジュエリー製作者の人々は自分たちをアンヘレス・アノニモスと呼ぶようになった。 英語で言えば、Anonymous Angels(名もなき天使達)となる。 名もなき、とは誰なのか分からないことの言い換えである。 リマの労働者達は彼らの作ったジュエリーを誰が買っているのか、知らない。 彼らは、それをインターネット上で販売しているのである。

カリーナはアンヘレス・アノニモスで働いている。 彼女は、自分が作ったジュエリーを世界中の人々が買い求めていることを、幸せに思っている。 彼女は、ジュエリーを買っている人々こそが、名もなき天使達なのだ、と言う。 彼女の仕事を可能にしているのは、その人達なのだから。 彼らは、彼女の人生をより良くしている天使達なのである。

アンヘレス・アノニモスは、これまで仕事を見つけることが出来なかった障害者に仕事を与えている。 この団体では、たとえ、その人達がどうやってジュエリーを作るのか事前に知らなかったとしても、どうやって美しいジュエリーを作るのかを教えている。 アンヘレス・アノニモスでは現在、25人の人々を雇っている。 また、この団体は、訓練や雇用のために地域社会でより多くの人々を探している。

そうした人々の一人がカリーナなのだ。 カリーナは27歳である。 彼女は、リマで両親と生活している。 カリーナは小人症である。 彼女は一般の人々よりもかなり背が低い。身長、約1メートルである。 長年、彼女は両親に迷惑をかけていると感じていた。 カリーナは仕事を見つけることができなかった。 両親は、彼女を手助けしなければならなかった。

カリーナは、電話の受付をするテレフォン・オペレーターになるための訓練をしていた。 4年もの間、彼女はテレフォン・オペレーターの仕事を探していた。 カリーナは仕事を見つけることができなかった。 彼女を雇う者はいなかった。 電話業務は背の高い女性にしか与えられない仕事である、と彼女は言う。

ペルーの多くの小人症の人々は見世物で生計を立てている。 彼らは、他の人々の前で芸をする。 だが、カリーナは芸などしたくなかった。 彼女は普通の仕事を求めていたのである。 カリーナの叔父が、彼女にアンヘレス・アノニモスのことを教えてくれた。 彼は、その団体で仕事を得るよう彼女に促した。 カリーナは叔父に話を聞いた。 彼女は、初めての仕事をアンヘレス・アノニモスでのジュエリー作りで手にしたのである。

カリーナが、名もなき天使達での仕事を始めたとき、彼女には不安があった。 彼女は人々と話すことができるかどうか心配していたのである。 彼女は、他の人々からそれはとてもひどい扱いを受け続けてきた。 だが、アンヘレス・アノニモスの人々はとても親切だった。 彼女にも、すぐに友達ができた。

カリーナは、アンヘレス・アノニモスで働くために、毎日リマの中心部へ通勤している。 ある日、カリーナは仕事に行くのに2時間かかった。 道が大渋滞していたのである。 だが、カリーナは仕事が大好きだった。 彼女は、時間がどんなにかかろうと心配していない。 彼女は言う、

「ここが私の人生を変えた。 それが、私の生活の方法を変えた。 今、自分は私のため、私の人生のため、自分自身のために、何かできる。」

多くの人々がインターネットで、このジュエリーを買っている。 フェア・インディゴという名の会社は、アンヘレス・アノニモスのためにジュエリーを販売している。 ロブ・ベンケはフェア・インディゴの設立者の一人だ。 彼は、ジュエリーについてこう言っている。

「あなたが美しいジュエリーを身につけることが、誰かを路上から救い出していることを知ったなら、それはより特別なものになるでしょう。 私たちの販売する美しい手作りの製品一つ一つが、それらの人々の生活を違ったものにしているのです。 それは、テーブルの上の食べ物を意味しています。一日だけの、ではなく、毎日のためにです。 それは、彼らの子どもたちへの教育の自由を意味しています。 それは、より良い人生を意味しています。」

ジュエリー一つ一つがまた、フェア・トレード製品である。 フェア・トレードとはビジネスの方法の一つである。 国同士の貿易は、あまりに頻繁に不公平に行われている。 これは、特に西洋の巨大企業との場合に問題になる。 彼らは、何度も彼らの製品や労働を、これらの企業にとても低い金額で売らなければならない。 彼らはひどい状況で働いている。 そして、他の人々は彼らの製品をより高い値段で売っているのだ。 これらの企業は労働者のひどい状況のおかげて莫大な利益を上げている。 だが、フェア・トレードは違う。 フェア・トレードを使うことで、製品を作る人々は対等なお金を受け取っている。 そのことで、彼らが安全で清潔な環境で働くことを保証しているのだ。

たくさんんの種類のフェア・トレード製品がある。 有名なフェア・トレード製品が2つあって、それはコーヒーと紅茶である。 だが、フェア・トレードのジュエリーを見つけることはあまり一般的ではない。 そのため、アンヘレス・アノニモスの労働者は重要な市場を埋めているのである! しばしば、フェア・トレード製品はコストがかかる。 だが、製品を買う人は、労働者を支援していることを確信できるだろう。 そして、それがすべての人の助けになるのだ!

名もなき天使達の人々が作ったジュエリーを見たいならば、このサイトでフェア・インディゴのリンクを見ることができる。

フェア・インディゴ http://fairindigo.com/

(翻訳:高丸正人)

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