東日本大震災で被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。

ジュビリー九州は地震津波及び原発被害地域の一日も早い復興を願い、各運営委員も支援の取り組みを行っています。そのためジュビリー九州の活動が遅延しておりますが、皆様のご理解をいただければ幸いです。
一方で債務問題を巡る状況は先進国・途上国を問わず深刻化しており、他団体とも連携しながら情報発信を進めています。今後も引き続きご支援のほど宜しくお願いいたします。

2009年8月16日日曜日

カンボジアにおけるオックスファムの取り組み

ピム・ランはカンボジアの小さな村で暮らしている。 彼女は家族のために米を植え、収穫するために懸命に働いている。 彼女は洗濯のために家の近くの川を利用している。 だが、その川の水は汚れている。 かつて、洗濯が終わった後、ピムは発疹で肌がひどい状態になっていた。 そのころ、彼女は妊娠していた。 彼女は皮膚の病気が子どもに被害を与えるのではないかと心配していた。 そのため、彼女は医者のところに助けを求めに行った。 彼女は川の水が病気の原因であることを知った。 だが、ピムには自分では何も出来ないと感じていた。彼女は援助団体オックスファムに話をした。

「家で健康に暮らすことができません。 たとえ、川の水が汚れていても、そこで洗濯をせざるを得ないのです。」

ピムはダムから来る川の下流に住んでいる。 その地域に暮らす人々の多くが彼女と似たような症状を抱えている。 彼らは胃腸や肌の問題に悩まされている。

各国政府は、これらのダムをラオスやベトナムに建設している。 だが、人々がダムを建設するとき、川の下流に住む人達への影響を考慮していなかった。

これらのダムによって、川の水質は変わってしまった。 ダムのせいで、数多くの種類の魚が死に絶えた。 そして、洪水がより頻繁に起こるようになった。 また、これらの洪水で稲作地帯が破壊されている。

だが、人々の生活に影響を与えているのは川だけではない。 村の人々は森にも頼っている。 しかし、森林も被害を受け、失われている。 村の住民は長年その土地に暮らしてきた。 彼らは生活のために森林を利用している。 だが、政府はその土地を売り払ってしまったのである。 彼らがそこに帰ろうとすると、銃を持ったガードマンが村の住民を脅しつけるのだ。 何千人もの村人が食料を手に入れるために新しい場所を探さなければならない状況になっている。

こうした山間部に住む人々は孤独を感じ、自分たちの生活に対して何の力もないのだと感じている。 だが、そうではない。 国際援助団体のオックスファムはこうした声を変えようと働きかけている。

オックスファムはカンボジアで3Sリバーズ・プロテクション・ネットワークなどの地域の団体と共同で活動している。 この団体では村の住人に記録をとるように指導している。 住人はどういった種類の魚が死んでいるのかを記録している。 また、どのくらいの速さで水位が上昇し、どの植物が死滅しているのかを記録している。

そして、住人は援助団体と共同で、状況を変えるためにこの情報を利用している。 住人たちは政府や企業に意見を出すことができるのだ。 彼らは、自分たちの地域の損害を示すことができる。 そうすることで、彼らは政策決定に影響を持つことができる。 住人たちの働きかけによって、ベトナム・カンボジア両政府は河川と森林の開発による影響を減らしていくことで合意した。

だが、オックスファムの活動は住人に記録をとるように指導することだけではない。 これは、持続可能な生活という大きな目標の一つなのである。

持続可能な生活とは住人が良い暮らしを続けていけるように促すことを意味している。 カンボジアの住人はその国の天然資源に依存している。 彼らは稲作をするための土地に依存している。 彼らは魚をとるための川に依存している。 また、彼らはその他の多くのものを森に依存しているのだ。 オックスファムはこうした天然資源を保護するために活動しているため、人々はそれを利用し続けることができる。

オックスファムは貧しい人々が必要とするものを守るための慣習を持てるよう手段を講じている。 それによって、住民がこれらの天然資源を確実に利用できるようにしているのだ。 また、団体は住人にこれらの資源のもっとも有効な活用方法を教えている。 彼らは共同で環境を保護する方法を模索しているのだ。

つまり、持続可能な生活とは、良い農業実践も意味している。 オックスファムは住人が育てた米や彼らが売っている生産物で十分なお金が得られるように手助けしている。 そうすることで、彼らは新しい農業の方法もまた共有している。 オックスファムは何人かの地元の人々を訓練している。 そして、それらの地元の人々が新しい方法を教えるために彼らの地域社会で働くのだ。

ヨーン・イーはそうした労働者の一人だ。 彼女は稲作農家でもある。 彼女は他の農家に新しい米の育成方法を教える為にケオック・デュオン村に通っている。

以前は、農家の人々は米を成長させるため有害な薬品を使用していた。 それらの薬品にはお金がかかった。 だが、ヨーン・イーはどうやって自然で、安全な肥料と農薬を作るかを農民たちに教えている。 農民たちはお金をかけずにそれらの生産物をつくることができるようになっている。

ニアン・ヴェーチはヨーンからたくさんの新しい農業の技術を学んだ。 ヴェーチはかつて地面に米の種子をまいていた。 ある程度の種子は稲として成長していった。 だが、あるものは成長しなかった。 そのため、この方法では常にうまくいくとは限らなかったのである。 今では、かれはヨーンから学んだ新しい方法を使っている。

ヴェーチは苗をそれぞれ個別に育てる。 彼はとても慎重に種を植える。 いったん苗が成長をはじめたら、彼はそれを土地に移し変える。 彼はとても慎重である。 彼は苗の根を傷つけないようにしている。 小さな苗は成長するにつれてたくさんの稲に分かれていく。 そうすることで、より大量の米を生産できるのだ。

この稲作手法はより多くの手間がかかるが、より少ない種子しか使わない。ヴェーチの古い育成方法では種を5キログラムほど使用していたが、この新しい方法なら200グラムしか必要ないのだ。 テアック・ヴォエウトはこの地域の農民である。 彼女はオックスファムに次のように話した。

「最初は一つの苗がそんなにたくさんの稲に分かれるなんて信じられなかったけど、とにかく試してみたんです。 その結果にはびっくりしました。 米を売って債務を返済するのに十分な利益が生まれたんです。」

これはオックスファムの仕事による成功例の一つにすぎない。 オックスファムは人々を助けるため多くの地域で活動している。 彼らはカンボジアや世界中で良い習慣のために活動している。 彼らは国同士のより良い貿易手段のために活動している。 彼らは銃器や暴力をなくすために活動している。 彼らは男女平等を促進するために活動している。 彼らは人々を自然災害やから守り、災害を受けた人々を援助する活動を行っている。 彼らはすべての子どもたちのために教育をする活動を行っている。 彼らは地域社会を建設し促進する活動をしている。 だが、オックスファムはどうして貧困に立ち向かうためにこれらすべてのことをしているのだろうか? その答えは団体のウェブサイトに掲載されている。 そこにはこう書いてある。

信念-豊かな世界において、貧困は許されるものではなく、避けることができるものだ、という信念。 不当と不公平に挑戦していかなければならないという信念。 そして、正しい助けの手によって、貧しい人々自分がかれらの生活をより良いものへ、永遠に変えることができるという信念。

(翻訳:高丸正人)

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