パキスタン経済：対外債務の重圧、上院議長が途上国のニーズに基づいた経済システムの構築を要求

３日、国連の年次聴聞会においてパキスタンの上院議長、ファルーク・ナエク氏は、地球規模の問題に対し、透明で開かれた包括的プロセスが求められていると述べ、途上国の対外債務問題を様々な観点から分析し解決策を探るための仕組みを国連が設置することを求めました。ナエク氏は国際的な金融危機から脱却するための新しいシステムが「途上国がミレニアム開発目標を含む開発目標を達成できるようなものにするべきである」と述べています。

また、同国派遣代表は「途上国の脆弱な社会・経済基盤を改善するためには、すべての途上国の対外債務問題を地球規模で包括的かつ効果的に解決することが求められる」と述べました。

膨れ上がる債務

パキスタンの対外債務残高は2010年9月現在、584億ドルに達しており、急激な増加を示しています。また、対外債務支払いのために外貨準備高が減少に転じており、海外在住者の送金などで9月には171億ドルまで増加した準備高が、今週は167億ドルまで減少しました。

パキスタン政府はIMFから融資を受ける条件として、電力や燃料に対する補助金のカットや消費税を含む大規模な増税を計画しており、議会野党などから激しい反発を招いています。

社会契約～誰との約束を果たすべきか？

その一方で、金融コンサルタントのファルーク・ティルミズィー氏は、パキスタンは政府の充実した補助により、教育、医療、インフラ整備などが発展してきたことを挙げ、社会サービスと税金の重要性を主張しています。

「確かに、公的一次医療はうまくいっていない面もあるかもしれないが、カラチでは充実した補助金により運営される公立医療施設が三箇所もあり、すべての市民に無料のサービスを提供している。これはアメリカの主要都市の三倍の水準に当たるものだ。」

また、アブ・シャヒード氏はビジネス・レコーダー誌において、IMFが貸し手であるG-7の側の利益に立って行動していることを批判しており、政府はIMFとの支払い契約だけを重視するのではなく、国民との「社会契約」を重視すべきであると述べています。

運営委員：高丸正人

参照：

Pakistan calls for redesigning global financial system
http://www.brecorder.com/news/latest/16397:pakistan-calls-for-redesigning-global-financial-system.html

External debt hits record level of $58.4 billion
http://www.brecorder.com/news/stocks-and-bonds/pakistan/1125684:external-debt-hits-record-level-of-584-billion.html

Forex reserves ease to $16.74b
http://tribune.com.pk/story/85129/forex-reserves-ease-to-16-74b/

Taxation: what it buys us
http://tribune.com.pk/story/83132/taxation-what-it-buys-us/

Zero concern for the 'social contract'
http://www.brecorder.com/news/articles-and-letters/articles/1128896:news.html