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2012年2月14日火曜日

パキスタン洪水補償 - 世銀の援助プログラム格下げの影響


イスラマバード - 2010年の洪水被害者の大多数が未だ第1期補償区分を受け取れない中、世界銀行の援助プログラムが格下げに動いたことにより、パキスタン政府は今後二ヶ月間のうちに必要となる53万1千世帯の補償を強いられつつある。ワシントンに本部を置く融資機関である世界銀行の最近のレポートによると、2011年11月までに政府は6万ルピー(約5万円)の第1期補償のうち対象世帯の4分の1に満たない25万世帯にしか支払っていないこと明らかにしている。

世界銀行はシンド州およびバロチスタン州の大幅な補償の遅れを知りながら被災住民補償プログラム(CDCP)を「適度に満足のいく状態」に格下げした。両州ともにパキスタン人民党による連立政権に統治されているが、第1期支払い区分となる2万ルピー(1万7千円)の支払いの前提条件となる家屋損壊調査を完了させることができなかった。

11月に第二次合同監督評価派遣団がパキスタンを訪問し、プログラム実施レポートを提出した。派遣団はUSAID,イギリス国際開発省、イタリア、世界銀行の各代表により構成される。次の派遣団のパキスタン訪問は3月の第1週に予定されている。世銀の格下げによりパキスタン政府の選択肢は失われ、国民の大多数が補償を受けられない状態でもがくことになり、総選挙を控えた政府とって不利に働くものと見られる。世銀高官が匿名で述べたことによると、「適度に満足のいく状態」という評価は政府に上乗せの補償支払いを強いたものであり、世銀の次の派遣によりその決定は覆される見込みがあるという。

被災住民補償プログラム

パキスタンでの史上記録的な大洪水を受けて、政府は当初、各被災世帯に10万ルピー(8万5千円)を支払うと発表していた。プログラムの総額は1600億ルピー(1360億円)に上ると試算されている。

だが、政府は必要となる財政的割り当てを確保できず、後に1世帯6万ルピー(5万1千円)に減額した。その内、2万ルピー(1万7千円)が160万世帯に支払われたが、残りの4万ルピー(3万4千円)は家屋を失った世帯にのみ支払われることになっている。

世銀はCDCPの融資2500万ドル(20億円)を承認している。内閣及び国家データベース登録局(NADRA)がプログラムの実施機関となっている。

「全体としては、NADRAの統治外にあるシンド州およびバロチスタン州での支払い繰り延べを除き、プログラムは計画通りである。」とタリク・マリク副局議長は述べている。また、シンド州では補償の支払いが始まっている一方で、バロチスタン州では家屋損壊調査の完了の遅れにより支払いが始まっていないと述べている。マリクによれば、支払い対象である110万世帯に対し、これまでのところ53万1296世帯しか補償金の第1期を受け取っていないと言う。パンジャブ州では24万8千世帯が60億ルピー(51億円)を受給し、カイバル・パクトゥンクワ州では20万3千世帯が31億ルピー(26億円)を受給したのに対し、シンド州ではわずか7万3千世帯が8300万ルピー(7000万円)の補償を受けたのみである。

調査結果の不一致

国際金融機関の当局者が匿名で語ったところによると、家屋損壊調査の結果は世銀とアジア開発銀行が合同で実施した損壊およびニーズアセスメント報告書における損壊家屋の概算と異なっていると言う。当局者によると、パンジャブ州では61万5千の損壊・全壊家屋が報告されているのに、調査では31万世帯のみの存在を認めている。同様に、シンド州では38万の全壊家屋が報告されているのに、第三者機関の実施した調査では21万8千世帯の被害を認めているのみである。「派遣団の記すところによると、登録センターを組織するためのハードウェア面やその他実務面での能力にボトルネックがあり、そのことが前進の妨げとなっている。」と、世銀レポートは述べている。

(翻訳:高丸正人)

原文 The Express Tribune 2012年2月7日
http://tribune.com.pk/story/332798/2010-floods-govt-plans-to-step-up-as-wb-downgrades-aid-programme/

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