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2013年7月14日日曜日

変化する途上国への資金の流れ ~公的資金から民間資金へ~

5月、主にヨーロッパを中心に活動する共同NGOのEurodadは、途上国における資金フローを分析したレポート「Global financial flows, aid and development(国際資金フローと援助および開発)」を発表した。

レポートによれば、途上国における貧困率はこの30年間減少し続けているものの、依然として約13億人が1日1.25ドル以下で生活しており、約25億人が1日2ドル以下で生活している(2008年)。

国内における借金が増加

 2000年代に入り、途上国の経済成長に伴い税収入の対GDP比が向上し、途上国の援助に対する依存傾向は大幅に低減しつつある。UNCTADによれば、海外からの資金に依存するよりも国内の資金の方がはるかに安定した供給源になるという。また、途上国政府の債務も国内からの借り入れ率がこの10年で倍増し、援助離れが進んだ。一方で国内での借り入れは「海外からの借り入れより遥かに高くつく危険な傾向」であるとレポートは述べている。

増え続ける海外送金

 この10年、国外へ出稼ぎに行った労働者などからの送金が急増しており、すでにODAの2倍以上に達し、途上国のGDP比で4.9%に上る(2009年)。送金が途上国にどのような効果を与えているか詳細は分かっていないが、リベリアにおけるケース・スタディでは「送金の恩恵を受けているのは、貧困層よりもむしろ富裕層である」という。

対外借り入れは増加

 債務帳消しキャンペーンがピークを迎えた2005年以降、一度減った途上国政府の対外借り入れは再び増加に転じ、以前の状態に戻りつつある。だが、再び債務危機に陥るかどうかは国によって状況にかなりの違いがあるという。また、対外公的機関からの借り入れは安定して伸びている一方で、民間からの対外借り入れは世界金融危機が広がった2009年にピークの3分の1にまで落ち込んでおり(その後持ち直しつつある)、資金としての不安定さを露呈した。

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 近年、EUでは緊縮財政により途上国への援助予算への圧力が強まっている。また、援助の「直接の」効果を重視する傾向に変化しつつあり、民間部門の刺激策や海外直接投資を呼び込むことを強調している。しかし、貧困削減の役割は政府の力による部分が大きく、貧困層に資金を振り向けるために途上国政府が公的資金を確保することは重要である。また、貧困削減は資金の問題だけで達成できるものではなく、貧困国の政策、ガバナンス、国家の安定といった要素も重要であることをレポートは指摘している。(高丸正人)

参考文献

Global financial flows, aid and development

http://eurodad.org/1544941/

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