お金で世界を変える方法

Ｂコーポレーションとは社会や環境に関わる問題をビジネスの手法を用いて解決しようとしている会社のことを指す言葉である。Ｂコーポレーションはお金を作るだけはなく、労働者や環境に配慮することを誓っている。

その一つの事例としてアイスストーンと言う会社がある。アイスストーンはキッチンや風呂場用のタイル製品を販売している。そのタイルは石のように見えるが、実は使い古しのガラス瓶から作られたものである。職人がそれを粉砕し再利用しているのだ。ガラスの色がそのままタイルの色に変わる。アイスストーンのＣＥＯ、ミランダ・マガグニニはＢコーポレーションをウェブサイトでこう説明する。

「多くの製品は生産、使用され、そして捨てられます。それらはゴミになるのです。この世界で人々が使っているものの多くはそうなる運命にあります。私達はそれとは違った考え方を用います。私達は製品の行く末を考えています。どうやって作られたのか、環境にどのような影響があるのか、そして最後はどうなるのか。私達はそれがリサイクル可能か、再利用する方法があるかどうかを自分自身に問いかけています。」

アイスストーンは収益と環境だけを考えているわけではない。働くための良好な場所を生み出すことも考えている。会社はニューヨークにあるが、マガグニニはこう述べている。

「社員の半数以上はチベットから来ました。また、その他の社員も１５カ国から集まった人々です。社内の全ての業務はチベット語、英語、スペイン語に翻訳されます。私達はあらゆる人々を取り込むことのできる文化を作りたいと考えているのです。」

「アイスストーンは優秀な社員に敬意を払うようにしています。社員が優れた仕事をすれば月間優秀社員として表彰されます。アイスストーンは人々が仕事を楽しめる場所でありたいと思っているのです。」

「人々は、その人の好みの商品を欲しがります。しかし、良いビジネスであるということはデザインや環境、社会規範を犠牲にすることではないのです。」

Ｂコーポレーションの一員になるのは簡単ではない。Ｂコーポレーションの認証マークは非営利団体のＢラボによって与えられるものである。Ｂコーポレーションになるためには、その会社はいくつもの質問に答えなければならない。Ｂラボはその回答が真実かどうか確認作業を行う。

だが、それだけでは十分ではない。Ｂコーポレーションはその回答の２０％を裏付ける文書を保有しなければならない。また、Ｂラボは毎年Ｂコーポレーションの１０％を監査している。こうすることで、会社が認証マークを受けた時の手法を変えないようにしているのだ。

そして、Ｂコーポレーションになるためには、会社の定款を変更しなければならない。会社の目的は、環境と労働者のニーズを考慮したものである必要がある。

Ｂコーポレーションになることはどのような意味があるのだろうか？ Ｂコーポレーションはウェブサイトでこう説明する。

「私たちはこの世界で追い求めている変化そのものにならなければなりません。すべてのビジネスは人々や場所が重要なものとなるように経営すべきです。製品、労働、お金を通じて、ビジネスはすべての人々に害を与えず、手助けとなる仕事をすべきです。そうするためには、私達は周りの人々のお陰で成り立っていることを理解することが求められます。私達は互いに責任を持ち、次の世代にも責任があるのです。私達はＢコーポレーションを、世界をより良いものに変えるためにビジネスの力を使うという経済の新しい潮流として捉えています。」

会社がどんな製品を作っているかは問題ではない。あらゆる会社がＢコーポレーションになっている。例えば、キング・アーサー・フラワーはアメリカで最も古い小麦会社だ。この小麦は様々な種類のパンの製造に使用される。会社が工場を拡大しようとする時には、多くの事柄を考慮に入れなければならない。そのコストはどの位かかるのか。 収益はどの程度か。 だが、会社はまた違うことも考慮しなければならない。切り倒される木々はどうなのかと言ったことだ。

キング・アーサー・フラワーはＢコーポレーションになる前からこうしたことを考えていた。ある社員がＧ．ジェフリー・マクドナルドに対して話をしている。彼はクリスチャン・サイエンス・モニター誌の記者だ。

「私達は多くの様々な人々と団体に対する約束を守っています。将来誰が率いても、そこに誰がいようと、その約束は私達の企業精神の一部であり、私達の信じるものは重要なのです。」

Ｂコーポレーションの与える影響は世界中に広がっている。ガウヤキ・サスティナブル・レインフォレスト・プロダクツもＢコーポレーションの一つだ。この会社はイエルバ・マテという飲料を販売している。それはお茶の一種である。会社のウェブサイトではこう説明されている。

「ガウヤキは市場主導型再生事業というビジネスプランを採用しています。グアヤキは北アメリカでイエルバ・マテを購入する人々と、アルゼンチン、パラグアイ、ブラジルの地域コミュニティを結び付けているのです。それらのコミュニティは、熱帯雨林を再生するプロジェクトのために働いています。ガウヤキのイエルバ・マテを飲むことで熱帯雨林を保護できるのです。」

（翻訳：高丸正人）

原文：
http://spotlightradio.net/listen/changing-the-world-by-making-money/